30分を超えてから、敵も焦りだしたようだ。
戦車が陣地の至近距離まで接近してくる。
陣地を包囲するように移動して、好き勝手に攻撃してくる。
こうなっては手も足も出ない。
撃たれるドイツ兵は悲惨だ。
左翼、中央部も似たり寄ったりの状況だ。
敵は中央の平地に堂々と戦車を並べ、大フラッグ前の陣地を砲撃している。
かろうじて敵歩兵を撃退しているが、このままでは時間の問題だ。
35分、右翼の大フラッグが陥落する。
中隊長が降伏し、この方面は完全に敵の勢力圏になってしまう。
左翼は反撃することもできず、ただ塹壕に篭って耐えるだけだ。
敵戦車のHE弾が切れたのか、AP弾しか飛んでこない。
それがせめてもの救いだ。
37分、ついに戦闘が終了する。
戦場を眺めると、大量の死体が転がっている。
凄惨な戦いだったことが窺える。
ドイツ軍の戦術的敗北であった。
もっと早く戦闘が終結していれば、惜敗程度で済んだかもしれないが、今回の神様はドイツ軍に意地悪だった。
ドイツ軍の死傷率は73%であった。
まさに全員が倒れるまで戦った結果だろう。
アメリカ軍の死傷率は39%。
こちらも決して低い数字ではない。
あと5分も戦えば、ドイツ軍は全面降伏に追いやられていたかもしれない。
今回の戦いでは、敵戦車を1両も破壊できず、全ての砲弾を撃ちつくすまですき放題に暴れられた。
戦車だけでは勝てないが、歩兵だけでも勝てない。
最低限の対戦車兵器は必要だったと思い知らされた。